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付録 F プロジェクトふりかえりテンプレート

プロジェクトふりかえりは、反省会ではありません。何を判断し、何が起き、次に同じ状況でどう判断するかを残すための知見化の手順です。

関連する章は、第3章 プロジェクトを設計する第21章 小さく試して学ぶ第24章 実行可能な計画へ落とす第26章 成功と失敗を記録する第27章 プレイブックを更新するです。

使い分けの目安は、5 分版は直後の記憶を残すため、20 分版は一人または少人数で知見化するため、60 分のふりかえり会は複数関係者の認識をそろえるために使います。どの版でも、項目を埋めることより、次の判断に効く事実と反例を残すことを優先します。

5 分で残す直後メモ

プロジェクト名:
日時:
今起きたこと:
次も続けること:
次はやめること:
今の案件で次に試すこと:
次の案件で試すこと:
プレイブックへ残すか:
責任者:
期限:

忙しいときは、直後メモだけでも残します。詳細な分析は後でできますが、直後の違和感や判断の記憶はすぐに薄れます。

20 分で残す判断メモ

プロジェクト名・版・日時:
記録者:
関係者:
共有範囲(社内のみ・クライアント共有可・外部公開不可):

1. 目的
当初の意思決定:
期待していた成果:
実際の成果:

2. 判断
良かった判断:
悪かった判断:
判断が遅れたこと:
判断できなかったこと:

3. 証拠
役に立った情報:
足りなかった情報:
誤っていた前提:

4. 実行
うまくいった進め方:
詰まった進め方:
関係者との合意:

5. 次に変えること
次回も続ける:
次回はやめる:
次回試す:
具体的な次アクション:
責任者:
期限:
プレイブックへ反映する:

判断メモでは、感想を長く書かず、次の判断に使える形で残します。事実、判断、感情、推測を混ぜないことが重要です。

詳細版

1. プロジェクトの基本情報

プロジェクト名:
期間:
クライアント・対象組織:
目的:
意思決定者:
チーム:
主な成果物:
最終状態:

終了した案件だけでなく、途中で止めた案件、提案に至らなかった案件、失注した案件も記録します。失敗や中止には、次の判断に効く情報が多く含まれます。

共有範囲は最初に決めます。クライアントと共有するふりかえりでは、相手の改善や次の合意に必要な内容へ絞ります。社内だけで残すふりかえりでは、判断ミス、見積もりの甘さ、提案上の反省、機密を含む前提も扱えます。クライアントへ共有する場合は、相手に見せる前提で表現、機密、責任範囲を確認します。

2. 当初の設計と実際

項目当初実際差分理由
目的
スコープ
期限
体制
成果物
クライアントの期待
外部要因

計画との差分は、失敗の証拠とは限りません。前提が変わった、情報が増えた、相手の意思決定が変わった場合は、変更が妥当だったかを見ます。

成果には、偶然や外部要因も混ざります。自分たちの判断や行動で再現できるものと、再現できないものを分けます。

3. 重要な判断の記録

日付判断選択肢使った証拠結果次回の教訓

判断の良し悪しは、結果だけで決めません。その時点で使えた情報、選択肢、期限、制約を踏まえて評価します。結果が良くても判断が雑だった場合、次回は同じやり方を再利用しません。

中間ふりかえりでは、結論を出し切る必要はありません。目的、スコープ、期限、意思決定者、証拠、合意形成のどこにズレが出ているかを確認し、続ける、重点変更、追加支援が必要、止めるのいずれかを決めます。

4. うまくいったこと

再現したい行動:
効いた証拠:
効いた合意形成:
効いた AI 利用:
効いた成果物:
なぜうまくいったか:
外部要因・偶然:
次回も使う条件:

成功は、単に「よかった」で終わらせません。再現できる条件を残します。人、相手、時期、予算、信頼関係に依存した成功は、その条件も一緒に記録します。

5. うまくいかなかったこと

起きた問題:
最初に兆候が出た時点:
見落とした前提:
足りなかった証拠:
遅れた判断:
関係者の認識差:
次回の検知方法:
次回の回避策:
責めずに扱うための注意:

失敗は、犯人探しではなく検知方法と回避策に変えます。「もっと頑張る」ではなく、次回いつ何を見たら早く気づけるかを書きます。

失敗の記録は、人の評価ではなく仕組みの改善として扱います。個人名を残す必要がない場合は、役割や工程で記録します。

6. AI 利用のふりかえり

用途使った場面効いた点問題次回の扱い
調査
要約
分析
提案書
議事録

AI が効いたかどうかは、速く作れたかだけで見ません。確認時間が増えた、誤りを見つけにくくなった、相手との合意が曖昧になった場合は、次回の使い方を変えます。

7. 関係者と合意形成

意思決定者:
協力者:
反対者・慎重派:
認識がずれた点:
合意できた点:
合意できなかった点:
次回早く確認すべき人:

プロジェクトは、正しい分析だけでは進みません。誰が何を不安に思い、何を決められず、どこで合意が止まったかを残します。

8. 成果物の評価

成果物目的使われたか使われなかった理由次回の改善

成果物は、作った量ではなく、意思決定や実行に使われたかで評価します。使われなかった資料は、品質が低いとは限りません。相手のタイミング、粒度、意思決定者との距離が合っていなかった可能性もあります。直後には使われなくても、後の説明、合意形成、引き継ぎで使われることもあります。

9. 知見への変換

今回だけの事情:
単発の教訓:
再現可能な原則:
検証が必要な仮説:
次に検証する方法:
条件付きで使える知見:
使ってはいけない知見:
更新する章:
追加するテンプレート:
削除・修正する古い知見:

すべての経験を一般化しません。今回だけの事情と、他案件に持ち出せる知見を分けます。条件を残さない成功例は、次の案件で誤用されます。

単発の教訓は、次回の注意として残します。再現可能な原則は、十分な根拠と適用条件がある場合にだけプレイブックへ反映します。検証が必要な仮説は、次の案件でどう確認するかまで残します。

ふりかえりのタイミング

タイミング見ること
重要判断の直後なぜそう決めたか、残る不確実性
中間地点目的、スコープ、証拠、合意形成のズレ
終了直後判断、進め方、成果物、関係者
1 週間後冷静に見た失敗要因、改善策
成果確認後実際に使われたか、成果につながったか

一度だけのふりかえりで全部を見ようとしません。直後は記憶、少し後は構造、成果確認後は実際の効果を見ます。

ふりかえり会の進め方

時間内容目的
0-5 分目的とルール確認犯人探しにしない
5-15 分事実の確認起きたことを揃える
15-30 分判断の確認何をどう決めたか見る
30-45 分成功・失敗の構造化再現条件と検知方法を残す
45-60 分次回アクションプレイブック更新へつなげる

ふりかえりでは、発言量の多い人の印象だけでまとめません。意思決定者、実行者、調査担当、資料作成者、相手に近い人の視点を分けて聞きます。

可能であれば、会の前に各自が事前記入します。先に個別の記録を集めると、声の大きい人の印象だけに寄りにくくなります。

AI にふりかえりを補助させる

以下はプロジェクトの記録です。評価を代行せず、知見化のための抜け漏れを点検してください。

1. 事実、判断、推測、感情が分かれているか
2. 当初の目的と実際の成果の差分があるか
3. 重要な判断と、その時点で使えた証拠が残っているか
4. 成功の再現条件が書かれているか
5. 失敗の兆候と次回の検知方法が書かれているか
6. AI 利用で効いた点と問題が分かれているか
7. 今回だけの事情と、他案件に使える知見が分かれているか
8. プレイブックのどの章を更新するか示されているか
9. 削除・修正すべき古い知見がないか
10. 次回アクションに責任者と期限があるか

AI は記録の整理には役立ちますが、評価を任せません。評価は、プロジェクトに関わった人が、当時の制約と結果を見て行います。

AI に入力する前に、クライアント名、個人名、契約条件、未公開情報、特定できる失敗内容を削るか、許可された環境だけで扱います。

プレイブック更新メモ

更新日:
更新者:
元になった案件:
更新する章:
追加する知見:
修正する知見:
削除する知見:
適用条件:
関連テンプレート:
次回見直し:

ふりかえりは、記録して終わりではありません。プレイブックに反映して、次の案件で参照できる状態にして完了です。

更新手順は、次の順番で行います。

  1. 今回だけの事情を除く。
  2. 再利用できる知見と適用条件を一文にする。
  3. 関連章へ追記する。
  4. 古い知見と矛盾しないか確認する。
  5. 次回見直し日を置く。

更新しない判断もあります。今回だけの事情が強い、根拠が弱い、他の知見と矛盾していて整理できない、適用条件が書けない場合は、プレイブックではなく案件記録に留めます。